*本作品は2019年に他社から出版された『私たちの住む世界は』を再出版したものです。 *本作品には追加の外伝が収録されています。 「アイエルニル・ベッキ、命を受けた。」 最初は生き残るために剣を握ったが、 女性であることが欠点にならないように常に激しく戦い、 ついにはアイエルニルは皇室騎士団の団長という地位を得た。 そうして騎士として得られる最大の名誉を手に入れ、少し息をついたのも束の間、 彼女は突然帝国に現れた恐ろしい存在、ドラゴンを討伐するよう命じられる。 「一晩の相手なら、悪くないな。」 しかし、そんなアイエルニルの前に現れたのは、 天使のような美貌を誇るドラゴン、レーヌだった。 見知らぬ人間の世界に落ち、発情期で身悶えしていたレーヌは、 ちょうど目の前に現れた獲物を見て目を輝かせるのだが……。 * * * 「はあ、ちょ、ちょっと！」 自分の足の間で引かれる手をなんとか止めながら、アイエルニルは叫んだ。 女性は彼女をじっと見つめていた。赤くなった顔には、ある程度の期待感が見て取れた。 「どうしたの？」 女性の瞳には純粋な疑問だけが宿っていた。むしろ質問した人を困惑させるほどだった。しかし、アイエルニルはできるだけ力を込めて言った。 「いったい今何をしているの？なぜ、なぜ突然キスをして。今はまた何をしようとしている……。」 「あなたは恥ずかしいことを言わせるのが好みなのか？」 それはまた何のことだろう。 アイエルニルが理解できないと、女性は言葉を続けた。 「それならドラゴンの広い寛容さで付き合ってあげよう。あなたと私は、今性交をしようとしているのだ。」