「人は必死でなくてはいけない」 　ずっと昔。少女は学んだ。 「なぜなら、失くすはずのないものさえ、失くしてしまうのだから」 　不思議な世界、アーテルナ。歳を取らない少女たちが通う女子校。 　ある日、記憶喪失の少女『こよみ』がアーテルナを訪れた。 　アーテルナでは、何か特別に得意なことが無いと生活ができない。 　けれど、こよみには記憶がない。得意なことなんて、あるかどうかも分からない！ 　そんな時、こよみは素敵なお姉様『洋野琴音』と出会った。 　琴音はこよみが生きていけるよう、ピアノの弾き方を教えてあげると語った。 　こうして、こよみと琴音の姉妹生活が始まった――。 　ピアノの練習、そしてお姉様との毎日の中で、こよみは沢山の友人と出会う。 　下着造りを生業とする『紀ノ川三国』 　喫茶店のお調子者ウエイトレス『美浜恵梨香』 　恵梨香の恋人で喫茶店のオーナー『田栗香織』 　他にも沢山の出会いと、別れがあった。 　やがてこよみは自分と、そして世界の秘密を知る。 　どうにもならない運命の流れの中で、大切な人たちへの思いを胸に、こよみは自分の進むべき道を探して必死に生きる――。