「絶対に私に触れないで。」 「は、まったく。死んでも触れない。」 芸能事務所の社長でありプロデューサーのソン・ハリム。 そして、彼女の手で育てられた歌手イ・セア。 まるで機械で作られたような典型的な音楽と歌手たち。ハリムはそれに飽き飽きし、音楽業界に疑問を感じていた。その日もデビューを控えた歌手のアルバム会議をしていたが、やはり似たような模倣の雰囲気にハリムはイライラし、ビンナと喧嘩して会社を出た。 ちょうどその時、降り始めた雨を避けるために入った地下ライブバー。 名ばかりのライブバーで、実際には退廃的な雰囲気の薄暗い場所だった。そこでハリムは、自分が待ち望んでいた「声」を持つセアと出会う。 セアの歌を聴いて震えを感じたハリムは、その場でセアにデビューを勧める。 幼少期に両親を亡くし、親戚の家を転々としながら気を使って育ったセア。成人するとすぐに小さなワンルームに独立し、できるアルバイトをしながら生活している。 彼女が望んでいるのは、ただ安心して休める家の存在だけ。しかし、一円二円と貯めたお金も親戚の病院代に消え、いつ家を買えるのかと考えるとセアはただただ苛立ちを感じている。そんな中で現れたハリムの存在は、セアにとって戸惑いながらもまるで救いのロープを得たように不思議な感覚を与える。 こうして二人は出会い、デビューを計画し始める。